昨年、地元消防団に入りました。
消防団について検索すると、「大変だった」「時間を取られる」など、デメリットや不満について書かれた記事はたくさん出てきます。
そこで今回は、あえて農家が消防団に入ってみて感じた良かったこと、メリットを中心に書いてみたいと思います。
私が入った消防団
私が入ったのは、現在住んでいる地域の消防団ではなく、農地のある実家の地域の消防団です。
就農直後にも一度、消防団に誘っていただきました。しかし、その当時は就農したばかりで農業経営に精一杯でした。また、その地域に住んでいないこともあり、そのときはお断りしました。
その後、就農8年目になり、農業経営も少し落ち着いてきました。
実家のある地域とはいえ、そこで農地を耕作している以上、自分も地域の一員です。もし災害が起きれば、自分自身が被災する可能性もあります。
そう考えると、「地域のために自分も少しは役に立ったほうがいいのではないか」と思うようになり、消防団に入ることにしました。
一番良かったのは「地域に居場所ができる」こと
消防団に入って一番良かったと思うのは、地域の中に人間関係ができ、居場所ができたことです。
農家の場合、農作業を通じて地域の人と顔を合わせる機会があります。そのため、会社員に比べれば地域とのつながりはあるほうだと思います。それでも、年齢を重ねるにつれて、人間関係は少しずつ変わっていきます。
さらに、会社員であれば、定年退職をすると、それまでの人間関係が一気に変わります。その後、新しい人間関係をつくる努力をしなければ、地域の中での居場所がなくなってしまうこともあるでしょう。
消防団に入ることで、普段の農業だけでは接点のない人とも知り合うことができます。一緒に活動することで顔見知りになり、話をするようになる。これは結構大きなメリットだと思います。
小型ポンプ操法大会にも良いところはある……と思う
消防団活動について語ると、避けて通れないのが「小型ポンプ操法大会」です。この活動については、消防団員の間でも賛否両論があります。というより、ネット上では「否」の意見が目立つような気がします。正直に言えば、私もそちら側に加勢したいところです(笑)。
ただ、ここではあえて良いところを探してみます。
練習や大会を通じて団員同士の交流が深まること。
そして、火災現場での基本的な動作を体で覚えられることはメリットだと思います。
ちなみに私は2番員を務めました。ただ、2番員の操法練習をしてきたからといって、小型ポンプを自在に扱えるようになったわけではありません。今でも小型ポンプの使い方はよく分かりませんし、エンジンをかけることもできません。経験した方なら分かると思いますが、私ができるのは、吸管を水につけることと、トビを構えることくらい。
現場に行っても、ほとんど役に立たない可能性が大です。……とはいえ、操法大会まで含めて団員同士で練習することで、顔と名前が一致し、普段から声を掛け合える関係ができたのは良かったと思います。
消防団は「地域で支え合う」仕組みの一つ
田舎で暮らしていると、地域の共同作業や自治会など、個人だけでは完結しない活動がたくさんあります。
都市部では、個人の自由を尊重するリベラル的な考え方が一般的です。私も東京で10年以上生活していたので、地域活動によって自分の時間が奪われることに抵抗を感じるのも、当然だと思います。
実際、田舎で暮らしていても、そうした地域活動を「面倒だ」と感じることは少なくありません。私自身も、すべての地域活動に積極的に参加したいわけではありません。ただ、地域で暮らしている以上、完全に一人だけで生活できるわけでもありません。
農地の管理、水路の維持、草刈り、災害時の対応など、地域の人たちが協力することで成り立っている部分があります。
消防団も、その一つなのだと思います。普段はそれぞれ別の仕事をしていても、いざというときには地域のために集まる。そう考えると、消防団活動も「地域で支え合って生きる」という仕組みの一部なのだと、参加してみて実感するようになりました。
農家と消防団は意外と相性がいい
農家は、会社員に比べると仕事の時間を比較的自由に組み立てることができます。そのため、急な招集がある消防団活動とは、ある意味では相性が良い仕事だと思います。もちろん、これはメリットであると同時にデメリットでもあります。
「農家なら来られるだろう」と思われやすく、仕事が忙しい時期でも、急な招集に応じられてしまうからです。消防団活動に時間を取られることで、自分の農作業が後回しになることもあります。それでも、会社員では参加するのが難しいような平日の昼間でも、農家なら対応できる場合があります。地域の防災という点では、農家が消防団に参加する意味は結構大きいのではないかと思います。
消防団でできた人間関係が農業にも役立つ、かも
もう一つ良かったのは、地域のさまざまな仕事や立場の人と知り合えたことです。消防団には、農家だけでなく、会社員、自営業者、建設関係など、いろいろな職業の人がいます。普段の農業だけでは知り合うことのなかった人とつながることができます。
もちろん、「人脈を作って仕事に役立てよう」と考えて消防団に入ったわけではありません。ただ、顔見知りになり、お互いに困ったときに頼ったり、頼られたりする関係ができることは、農業を続けていくうえでもプラスになることがあろうかと想像します。
農業は地域との関係が切り離せない仕事です。そう考えると、消防団で地域の人とつながることには、農家ならではのメリットもあると思います。
農家が消防団に入るという選択
消防団には大変なこともあります。ただ、実際に参加してみると、単に「災害時に出動するための組織」というだけではなく、地域の人とつながる場所という側面もあることが分かりました。
特に農家は地域との関わりが深い仕事です。農地を守り、そこで農業を続けていくのであれば、地域そのものがなくなってしまっては困ります。そう考えると、地域の一員として消防団に入るという選択も、農家にとってはそれほど悪くないのではないかと思っています。
もちろん、無理をしてまで参加する必要はありません。自分の仕事や生活とのバランスを考えながら、それでも「地域のために少し役に立ってみよう」と思うのであれば、消防団に入ってみるのも一つの選択肢ではないでしょうか。


コメント