農業の年収・所得の意味を今一度確認する

経営

農業が儲かる産業かどうか議論するとき、経営指標の一つとして”年収”で語る場面を目にします。ただ、そのような議論をみていると年収が売上を指すのか、所得を指すのか、人によって曖昧な場合が少なくなくモヤモヤが残ることがあります。定義を再確認してみたいと思いますので、私と同じように気になっている方の参考になれば幸いです。

年収で語ることは正確か

農業関係者や就農を考える方が興味を持つ問題に、”農業は儲かる職業なのか”というものがあります。実際儲かる産業かどうかは別の機会に考えるとして(個人的には簡単に儲かる産業ではないと感じています)、その話題を議論するにあたって、経営指標として”年収”を使って語る場面を見ます。ただ、そのような場面をみるにときに、人によって年収の定義が微妙に嚙み合っていない状況よくみかけます。

”年収2,000万円”と聞けば、一見すごく儲かっているように思えますが、よくよく聞くと売上が2,000万円ということで、それでは実際儲かっているのかどうかは判断が付きません。
経費を引いた所得が良く分からないからです。
年収=売上
と捉えている人もいるし、
年収=所得
と捉えている人も見受けられます。今一度定義を確認してみたいと思います。

インターネットの辞書で”年収”を検索すると、以下の通りの結果となります。

1年間の収入。

goo辞書

年収とは、所得税や住民税などの税金、社会保険料や雇用保険料などの保険料を差し引く前の1年間の総支給額のことである。額面年収、税込年収と表現することもある。年収は、給与所得の源泉徴収票の支払金額の欄に記載される。なお、ボーナスは年収に含まれる。

Weblio辞書

この定義では、農家などの自営業者の年収の定義は曖昧になってもおかしくありません。

次に、国税庁の確定申告書作成コーナーから青色申告決算書(農業所得用)を見てみます。

こちらを見る限りは、「収入金額」は、売上、家事消費、雑収入、棚卸高を合計したものになります。つまり、”年収”とは一年間の収入=売上と捉えて問題なさそうです。

ということは、農業が儲かるかどうかを議論するときに年収の金額の多寡で話してもあまり意味はないものと思われます。

邪推ですがそのような議論の時に、敢えて年収ベースで話し、農業について深く知らない方に、農業って儲かる産業だとミスリードさせている意図があるかもしれません。

農業の儲けは「所得」で語るほうが良い

つまり、農業の儲けについては、年収ではなく、明確に”所得”を指標として話すよう心掛けたほうが誤解が生じにくく良いです。

所得とは簡単にいうと、”売上-経費”ですので一年の農業経営の結果、実際手元に残るお金に近く、儲かる・儲からないを判断する指標にぴったりです。

しかし、一つ注意があるとすれば、経費にどこまで含めるかは人によって微妙に違うかもしれません。実際、このような本も出版されるくらいですから、人によって経費の範囲は少し違うこともあるでしょう。所得で議論したとしても、一概に鵜呑みにはできませんので注意したほうが良いかもしれません。個人的には、事業に使ったものであることを説明できないようなものは経費には入れないのが妥当だと思います。

最後に、他人の儲けを気にすることについて

これまで、農業が儲かる・儲からないという観点からどの経営指標を使うか確認してきましたが、正直、他人の所得や年収を気にしすぎることは精神的に健全ではない気がします。
生活に必要な金額は、それぞれの人のライフプランや家族構成、人生ステージの状況によって千差万別です。
自分の生活に必要な所得が得られればそれで充分と思いたいものです。必要な所得から逆算して、営農の内容を決めるのが理想的だと思いますが、(私も含め)意外と自分に必要な所得がわかっていない人多いように思います。生活コストが高ければ所得もたくさん必要ですし、節約が苦にならない人は、所得もあまりなくても問題ない場合が多いです。
なんとなく将来が不安なんで、たくさん稼いでおきたいと思ってしまう心情はよく理解でしますが、人と比べて儲かる儲からないと考えるから、儲からないと苦しみを感じてしまうのかなと思う今日この頃です。

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