補助金で農業機械類を買う前にチェックすること

政策・制度

農家が機械類を購入するときに、要件が合えば利用できる補助金があります。大抵の場合、購入価格に対し、一定割合を補助されるというものが多いです。要件はシンプルなものから複雑なものまで様々ですが、利用を検討する方も多くおられることと思います。ありがちな考えは”もらえるものはもらったほうが得”です。しかし本当にそうでしょうか。
個人的には補助金で機械類を購入する際は、見落としがちな注意点(デメリット)があると考えます。利用する前にチェックしてはいかがかと思い注意点をまとめてみました。補助金を使って機械類を購入しようとしている方の参考になれば幸いです。

補助金を利用する前に考慮すべき注意点

先ず以て、機械類の購入や施設を建てる場合の補助金は、国、県、市町村レベルでの予算で多岐にわたりますので、すべてを把握するのはなかなか難しいです。ちなみに国の予算であれば利用できる補助金が知りたい場合、農林水産省のホームページの逆引き辞典が便利です。市町村の担当者に確認するのが一番確かと思いますが、担当者でも把握しきれていないものもあるので(農家が利用できるものには農林水産省の予算でないものもあります)、ある程度自分で調べる必要があります。

さて、仮に使えそうな補助金があった場合、機械類の購入前に考慮したい注意点についてまとめてみます。

機械の次回更新時には補助金があるかわからない

本来なら、正規の価格(再入手可能な)で取得して経営が継続できることが理想的です。つまり、投資に見合ったリターンを得られる前提で機械を選ぶべきだと考えます。でないと、経営を継続させるという意味では支障が出かねません。補助金がない価格で取得したら利益がでないような投資は本当に必要な投資か考えるべきです。

オーバースペックになりがち

一定割合で補助が出るのだから補助上限に近づくよう機械のスペックを上げがちです。300万円で補助率が5割だと、正味の支払額は150万円です。例えば、スペックを必要最低限に絞って、中古が130万円だとしたら、そちらを検討することもキャッシュフロー的には良いです。

機械のスペックに作業量を合わせがち

作業量が経営として本当に適正な規模かどうかより機械の限界作業量になりがちではないでしょうか。人員の確保やその機械を利用する作業以外の他の作業が滞りなく行えるか。また、機械があるがため、作目の変更や規模縮小が難しい場合もあります。機械が不要になった場合、補助金で購入した機械を売却することができるのか確認できれば良いです(たぶん駄目かと思いますが)。

手続きによりスピード感がなくなる

補助金の受けるためには行政上の手続きが必要ですので取得・稼働までのスピード感が劣ります。具体的には、公募期間に書類の提出、相見積もりが必要な場合など手続きが煩雑になることが多くあります。さらに交付決定してから機械類を購入するなど、手続きの進捗状況に合わせる必要があるので、自分のタイミングで購入できず、翌シーズンからの稼働などどうしてもスピード感がなくなりがちです。

メンテナンスに時間と費用は掛かる

当たり前ですが、機械類の取得後はメンテナンスが必要になります。経営の重要度が高く、利用頻度が高ければ、メンテナンスに時間と費用をかけることは十分納得できます。しかし、補助金を使わないともったいないという意識で購入した機械の場合にもメンテナンスは必要になりますので、その金銭・時間の負担は小さくありません。また、置き場所も必要になります。

固定資産税(償却資産)が掛かる

意外と忘れがちですが、償却資産も固定資産税の対象です。地方税法第383条に基づき、償却資産を市町村長に申告しなければなりません。私が営農している京都府亀岡市の償却資産申告についてのリンクしておきます。

ビニールハウス、家屋に該当しない作業小屋・倉庫・物置、井戸、ポンプ、永久棚、農業用機械設備(ビニールハウス用電源、発電機、もみすり機等)、農業用器具、農耕用車両(小型特殊自動車に該当しないもの)、陳列棚等

京都地方税機構の「令和4年度償却資産(固定資産税)申告の手引き」の「主な償却資産の例示」

下取り代は補助金計算から引かれる

実際にあったと聞いた話です。補助金を使って機械を更新し、補助金は購入代金の半額受け取りました。これまで使っていた機械は下取りに出しました。のちの会計検査院の検査で下取り分を引いて補助金の計算をすべきと指摘があり、受け取った補助金の一部を返還したとのこと。また、補助金受け取り後の会計検査の対象となった場合、その対応に時間と労力(時には補助金返還も)があることを念頭にいれておくべきです。

とはいえキャッシュフローはマイナス

補助金があるから安く購入できるとはいえ、キャッシュフローはマイナスなので、手持ち資金の流動性は減ります。”使わないと損”という意識に囚われすぎず、資金繰りに窮しないよいう余裕をもって購入したいところです。

補助金を使わないメリットも

経済的には補助金を利用することが有利なのは言うまでもありあません。しかしながら、補助金を使わないことのメリットも一つ上げておきます。

読んだ書籍に良い言葉が書いてあったので引用しておきます。

「全額手出し」たから機械を大切に使おうという思いが生まれる

やってよかった集落営農: ホンネで語る実践20年のノウハウ

さらに、こちらの書籍を読んでから、個人的には「身銭を切る」つまり自分でリスクを負うという考え方が人生を生きていくうえで大切なキーワードだと思っています。

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