圃場の特徴を把握することの大切さ

圃場の特徴を把握することの大切さ 栽培

圃場は農業の大切な経営資源の一つです。圃場の特徴は土質や地形など環境により千差万別です。新しく利用する圃場では特性を知る必要があります。特に、新規就農で新たに圃場を借りるあるいは取得する場合には注意が必要ですので、参考になれば幸いです。

圃場の特徴

圃場の特徴をつかんで、適した栽培をしようという話はよく聞きます。でも、”特徴”っていったい何なのか、実際栽培してみないと実感できないですよね。私は4~5年栽培を続けて、ようやく自分の圃場の特徴を把握することができた気がします。これから栽培を始める方の参考になればと、私の畑の特徴をまとめておきます。
ただ、一つ注意点がありまして、地域によって土質が全く違うので、あくまで私の例ということで、参考程度に読んでいただければ嬉しいです。ちなみに、農研機構のサイトに土壌図というコンテンツがありますので、自分の農地の特性を見ることもできて面白いです。
私の農地を検索してみると以下のように表示されました。

土壌分類名:礫質普通灰色低地土

土壌表面から60cm以内に礫層または岩盤が現れる普通灰色低地土。

農研機構 土壌図より検索

それでは、以下に私の圃場の特徴をまとめてみます。

圃場A

・水田転作畑
・粘土質
周囲が水田用の水路で囲まれており、夏は地下水位が高い。その影響もあり、夏でも通路は湿っぽい。そのせいか4~7月はナメクジの発生が多く、その時期に葉物栽培は不可。就農当初土壌分析をした結果は、微量要素が少なかったため、最初は微量要素の欠乏症っぽい症状がよく見られた。微量要素を含んだ肥料を元肥にやるようになって、それらの症状も緩和されてきた気がする。どの作物も大体栽培でき、非常に使いやすい畑である。

圃場B

・水田転作畑
・比較的砂質
大雨が降れば水没する。まとまった雨の可能性が高い6月、9月に作物がないように使用している。また、雨が降らない日が続くととても乾燥するので、チップバーンが発生しやすい。有機物の投入が少なかったためか、乾くとガチガチの土壌になって苦労した。最近は畝建て時に毎回、もみ殻を投入し続けているので柔らかい土になってきた。しかし、ほぼ毎年、同じ季節に水没するので栽培できる野菜の種類、時期が限られ、使いにくい畑である。

圃場C

・水田転作畑
・粘土質
私が借りるまでずっと水田として利用されており、耕盤層が良くできており、水はけがめちゃくちゃ悪い。乾きが悪いときにロータリー耕をするとゴロゴロ土になる。そのため、トラクターで耕せるチャンスは年に2~3回しかなく、その時に一気に畝をたてる必要がある。また、乾けばガチガチの粘土土壌なので、根の弱い?アブラナ科の栽培は失敗が続いた。一方で、根の強い?ネギ、豆類、サトイモはよくできるので、ネギ、玉ねぎ、枝豆、サトイモ専用にしている。こちらも、毎年もみ殻を投入し続けているが、その効果は今だ実感できない。また、水はけをよくするため、縦穴を掘ったりしてみたが、さほど効果があるようにも思えない。畑としては使いにくいので、水田として利用し稲を栽培することも考えている。また、地形的に軽トラックが圃場内に入れず、収穫物を一旦圃場の入り口まで人力で持っていく必要があるため不便。

圃場D

・水田転作畑
・粘土質
しばらく遊休地として作付けされていなかった農地。よく乾くのでよいが、石が多い。トラクターで耕すとロータリーが石で跳ねるのがよくわかる。どういうわけか大雨が降ると水が湧いてくるような感じがする。そばの河川からの伏流水?かもしれない。野菜は良く育つが、長年遊休地であったことから、しばしば多年生の雑草に悩まされる。栽培には適しているが、圃場の隣が林のようになっており、夏場は常にやぶ蚊がおり、非常に不愉快な思いをしながらの農作業を強いられる。

最後に

以上の圃場は、距離的にはどれも近くにありますが、特徴はそれぞれかなり違っています。最初は空いている畝に手あたり次第に、野菜を植えていましたが、今では、圃場ごとに植える種類、時期を変えるようにしています。私は多品目栽培ですので、このように臨機応変に対応できます。しかし、小品目の専作の場合、土地と作物が合わなければ、その土地が全く使い物にならない可能性があるかもしれません。特に毎年特定の時期に水没する可能性のある圃場は、作物が全滅する危険もあります。圃場を借りるor取得する場合はくれぐれも注意する必要があります。その地域で長く営農されている方に、圃場の特徴をよくよく聞かれることをおススメします

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