今回の記事は、就農以来5年ほど健康診断を受けなかった自分の反省を踏まえて書いています。就農当初の自分に強く言い聞かせたい内容です。身体が資本である農家にこそ健康診断(人間ドック)を受けてほしい。健康診断の重要性は理解している(つもりだ)けれど、忙しくてついつい先延ばしにしている農家の方への参考になれば幸いです。
健康診断についての個人的体験談
まずは、私の体験から。
約8年前に就農して以来、とにかく毎日の農作業のことで頭がいっぱいで、ほとんど休みなく働いていました。自治体から、特定健康診査(40~74歳の人を対象に実施する健診のこと)の受診を促す連絡が来ていたのは知っていましたが、忙しさにかまけて、全く受診しない状態が5年ほど続きました。就農5年目にしてようやく農業経営に余裕が出てきたのか(?)、特定健康診査を受診しました。その際、5年前の会社員時代と比べ、診断結果が悪くなっているものもあり、長い間受診しなかったことを後悔しました。
また、最初に受けた特定健康診査は、のちに述べる個別検診で検査項目が人間ドックに比べ少なく(会社員時代は毎年人間ドックを受診していた)、不安になったのでその翌年から人間ドックを受診するようにしています。
健康診断に関する公的制度
多くの農家が個人事業主でありますが、会社員とは少し違う法的根拠で健康診断が行われていますので、簡単に整理します。
会社などに雇われている労働者は、法律(労働安全衛生法)に基づき健康診断の受診が義務付けられています。
一方で、多くの農家が該当する個人事業主では、健康診断を義務付ける法律はありません。ただし、厚生労働省は「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」を示しており、その中で労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきという考え方を記しています。その中で、引用の通り記述されています。
個人事業者等として事業を行う上では、自らの心身の健康に配慮することが重要であり、各種支援を活用しつつ自らで健康管理を行うことが基本である。
そこで、基本的には、費用負担等を考えると市町村が健康増進法に基づき実施している特定健康診断(40歳から74歳が受診できる)を受診することになります。
40歳未満向けの検診は、自治体により対応が異なるようですが、私の自治体では、青年期健康診査という制度を実施しており、年に1回の健診を受診できるようです。
結局、自分の健康管理は自己責任で行うしかありません。その代わり、健康保険により費用の一部は負担してもらえますので、制度に乗っかるのがベターです。
健康診断の実際(申し込み~受診)
私の自治体の例をご紹介します。毎年5月ごろに「特定健康診査 受診券」が送られてきます。こちらは40歳~74歳が対象となっています。
受診方法は以下の3つから選び、予約します。
①個別検診:特定健康診査(血液・尿検査を中心とした健診)。指定医療機関へ予約。
②集団検診:特定健康診査+胸部健診+大腸がん検診。区役所等で受診。
③人間ドック:①・②に加え腹部エコー、胃カメラ等も検査できます。指定検診機関へ予約。
①は近くの病院で受診出来て便利です。費用は安く済みます
②は①の検査項目に加え、がん検診も受診できます。費用は安くすみます。
③は検査項目は最も多くなります。健診機関によりオプションもあり、料金は高めに(自己負担が約1~2万円)なります。
一度①を受診しましたが、会社員時代に人間ドックを受診していたこともあり検査項目が少なく感じ、不安になりましたので、最近は人間ドックを受診しています。
人間ドックは各検診機関によって若干検査項目やオプション内容が異なりますので、事前に調べて受診されることをおすすめします。私は、基本の検査項目に加えて、腫瘍マーカーや胃カメラなど追加しています。費用は自費で2万円ほどかかりますが、それで健康が維持できると思うと、決して高くはないと思っています。
結果を受けて
ここ数年は健康診断(人間ドック)を受診して、自分の健康管理に努めています。50歳が目前に迫っている現在、少しずつ健康面で不安が出てきます。それを把握できるのも、定期的に人間ドックを受けているおかげです。実際に、一時期体重が増加し(食べ過ぎ)、血液検査の結果も「要注意」になったりもしました。その結果を受けて、減量に努めて、正常値に戻したこともあります。
農業は身体が資本です。大病をしたり、身体が動かないと、経営に影響が大きく出ます。
いくら売上・利益が増えても健康を害してしまえば、人生の幸福感は大きく下がります。健康診断を受けていて、病気になってしまったのであれば、まだあきらめもつくでしょう。しかし、健康診断を蔑ろにして病気になり、対応が後手に回ってしまえば後悔が大きいと思います。皆様も、健康管理には気を付けて末永く営農を続けてられることを望みます。死ぬ直前まで農作業が出来る健康な身体を維持しましょう。